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PROJECTS 3D Digital Archive – Miyakonojo Civic Center 旧都城市民会館 3Dデジタルアーカイブ
老朽化のため解体が決まったメタボリズムの名建築『旧都城市民会館』を、建物の複雑な形状や構造を3Dスキャンで立体的に記録し、3次元のデジタルアーカイブとして建物の建築的価値を後世へ継承しました。
また、建物の姿を記録するだけでなく、バーチャル空間に適した建築としてリノベーションし、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、ゲーム空間など物質性を超えた存在に建築を新陳代謝させました。
現代の技術を活用した3次元計測による記録
旧都城市民会館は、日本建築の礎を築いた巨匠・菊竹清訓氏による設計で、1966年竣工。建築も都市も自然や社会のように新陳代謝していくという「メタボリズム」の建築思想に基づいて設計され、世界的に高い評価を得た建物です。1966年の開館から約40年にわたり、都城市の文化振興拠点として利用されていましたが、施設・設備の老朽化のため本会館は閉館、2019年夏に解体が着工されました。
市の文化振興拠点として親しまれてきた建物の記憶を後世へ継承すべく、レーザースキャナによるミリ単位での正確な測量データと、一眼レフカメラとドローンによって撮影した10,000枚以上の写真を組み合わせ、建物の形状だけでなく質感や空気感も記録しました。
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デジタル技術で生まれ変わった名建築
デジタルデータをして保存することで、xR時代における新たな活用方法も広がっている。スマートフォンをかざすことで市民会館が手元に現れるAR(拡張現実)を公開したところ、建物を懐かしむ声をはじめ、現地を訪れることができなかった人や海外に住む人からも反響が寄せられました。
Link: 旧都城市民会館AR
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スマートフォンをかざすことで市民会館が手元に現れるAR。
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市民の方が撮影したリアルとバーチャル2つの市民会館が並ぶARによる写真。
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SNSにはハッシュタグ「#旧都城市民会館AR」を付けて多数の写真が投稿されました。
バーチャル市民会館ならではの楽しみ方
実際の建物を訪れたような体験ができるVR(仮想現実)も公開され、VRゴーグルをつければ、360度あらゆる視点で、バーチャル空間になった旧市民会館の内部を見て周ることができます。市民から集められた、市民会館で撮影された写真もバーチャルの旧市民会館内で見ることができ、文化ホールとして、コンサートをはじめ成人式や結婚披露宴などが行われた思い出を、場所の記憶と合わせて見ることができます。
バーチャルの旧市民会館には、移動が制限されている状況下においても距離や時間を飛び越え、世界中からアクセスすることができます。仮想性と現実性が融合したバーチャル空間に、インターネットを介してコミュニケーションが生まれ、再び市民会館にヒトが集うようになっています。
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受賞歴
建物の姿を記録するだけでなく、デジタル空間として物質性を超えた存在に建築を新陳代謝させました。本プロジェクトは「第23回文化庁メディア芸術祭」のエンターテインメント部門において、審査委員会推薦作品に選ばれました。
[プロジェクトメンバー]
企画・プロデュース:gluon
3次元計測:クモノスコーポレーション株式会社
フォトグラメトリ・AR・VR制作:藤原 龍 (HoloLab)
フォトグラメトリ:長坂 匡幸(フリーランスCGデザイナー )
ドローン空撮:大隣 昭作(福岡大学工学部社会デザイン工学科)
[点群データのダウンロード]
点群データは、研究や教材としての活用や、クリエーターによる自由な創作活動に繋がるようオープンソースとして公開しております。
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※このデータは クリエイティブ・コモンズ 表示 – 非営利 4.0 国際 (CC BY-NC 4.0) ライセンスの下に提供されています。
※こちらの点群データを使って作成した作品についてはハッシュタグ「#3DDA #旧都城市民会館」 で投稿してください。